私があらゆる本・研修を通じて学び、常に意識していたマネジメントの考え方をお伝えします。
自分自身の器が小さいが故に、すぐに怒ってしまったり、部下の自己肯定感を下げるような発言をしてしまっていたこともあります。一朝一夕では取り入れることは難しいですが、常に意識・行動し、改善を繰り返すことで理想のマネージャーに近づけるかと思います。
ちなみにこれが常日頃できるようになると家族や夫婦間のコミュニケーションも円滑になりますので、マネージャーではない方も是非取り入れてみてください。
マインドリセット
トッププレイヤーだった人がマネジメントを行うと組織が崩壊するケースがあります。
圧倒的に基準が高いからこそトッププレイヤーだった訳です。トッププレイヤーだった人は自分ほど優秀な人はこの世に存在しないと一度思った方が良いと思います。そうしなければ、自分の基準を部下に押し付けてしまい、精神的に追い詰めることになってしまします。
多くの組織は2-6-2の法則といって、「2(優秀な人):6(普通の人):2(怠け者)」の比率に分かれます。ここで、マネージャーの役割は2-6-2の中間層の【6】の生産性を向上させることです。
なぜなら、上位の2割の優秀な人たちは黙っていても成果を出し、怠け者の2割はどんなに素晴らしい環境を準備しても怠けるからです。
そのため、中間層である6の生産性を上げることがチーム全体の売上を大きく上げることに繋がります。自分の基準をいったん横に置き、まず【6】の人たちがどうしたら上位【2】に上がれるかを考えましょう。
言語化力は徹底的に鍛えよう
マネージャーは部下に【言葉】を通じて物事を伝えていきます。その【言葉】に説得力がなければ部下の不満が積もっていきます。
また、言語化力が低いマネージャーは「気合だ」「根性だ」「数が大事だ!」と、感覚的にマネジメントをしてしまう傾向があります。もちろん、気合も根性も数も大事なのですが、それだけではZ世代の子たちには通用しないケースが多いので「なぜ大事なのか?」を伝えれるように言語化力を鍛えましょう。
注意点として、言葉で伝える際に教科書から引っ張った言葉をそのまま使ってもNGです。教科書から学んだ言葉を一度咀嚼(そしゃく)し、自分の体験に紐づけて伝えていくことで、言葉の説得力が増します。
一例として、以下の内容を部下に具体的に指導できますでしょうか?
- 習慣形成がなぜ大切か?
- 自責思考はなぜ大切か?
- 普段の行い・姿勢(時間、約束を守る等)から正していくことはなぜ大切か?
- 積極的に失敗していくことはなぜ重要か?
- 売れる人はなぜ売れるのか?
- 素直な人がなぜ成長していくのか?
- 自信はなぜ営業にとって大切か?
「説明できない」=「自分も理解していない」と同義です。大事な価値観・守らせたいルールを伝えようとしても自分自身が理解できていなければ、当然部下も納得せず不信感を増大させます。そして、一度部下から不信感を抱かれると、マネジメントコスト・精神コストが大きく増加し疲弊することになります。最悪なケースは部下の不信感が積もり、レジスタンスを形成して反旗を翻してくることです。前職時代は散見されました。
おすすめ書籍
言語化力を鍛えるたいと思った時に読むべき本です。
上司、部下だけではなく、恋人・家族とも言葉を使用してコミュニケーションをとっていきます。この言葉を駆使できないがために関係が悪くなっている夫婦もかなりの数います。様々な関係性を良好に築くために言語化力は鍛えた方が人生の幸福度は向上するかと思います。
部下の自己肯定感は高めてなんぼ
営業マンが大きく成果を出すためには「会社・職業・商品・自分」に対する自信が必要です。その全てに確信を持っている営業マンが発する言葉の説得力はとても強く、お客様も思わず納得してしまいます。
ただし、毎日毎日、上司から怒られている部下の自己肯定感はどんどん下がり、好きだった「会社」も嫌いになってしまいます。
また、お客様は営業マンを通じて「会社・商品」を見ます。その営業マンが暗かったら、「会社・商品」に対する印象がかなり悪くなってしまいます。そして、営業マンからしても契約できない状況が続くと「商品・職業」までも嫌いになっていまいます。
そのため、営業マンの自己肯定感は会社にとっても本人にとっても高い方が絶対に良いです。世の中の多くのマネージャーは頭ごなしに部下を怒り自己肯定感を奪ってしまっています。
まずは、部下の自己肯定感を高めるために以下の行動を徹底しましょう。
- 皆の前で特定業績を褒める
- 他の人がいない所でアドバイスをする。
- 批判しない (否定ばかりすると部下は相談してこなくなる)
- 部下のミスは潔く責任を負う (ネチネチと部下に文句を言わない)
- 部下の問題解決に熱心になる (上司への信頼を築く)
- 部下の話を注意深く聞く (体を向けて話を聞く、ながら作業NG)
- 部下に意見を求め自尊心を高める
注意点としては、プロセスを過剰に褒めない事です。プロセスを褒めると、部下はプロセスを良く見せようとします。いわゆる、頑張っているアピールです。
また、無駄に褒めると「当たり前」の基準が低下します。期待上回ったときのみ褒めるようにしましょう。
NGワード
次に述べる言葉は、部下を委縮させます。なるべく使用しないようにしましょう。
過去にさかのぼる言葉
「それ前も言ったじゃん」「何度も言ってるんだけど」
人間は忘れる動物です。一度聞いたことを完璧に覚えられる人間などいません。失念してしまう場合はタスクの管理方法に問題があります。そのタスク管理方法を見直すことから始めましょう。
WHY系の責める言葉
「なんで?」「どうして?」
部下に考えさせる「なぜなぜ」質問はとても大事です。ただ、部下からしたら詰められている印象が強く委縮してしまいます。そして、一度委縮してしまったら相談しなくなります。
聞き方を、「何が原因でそうなったと思う?」と変えるだけで印象が柔らかくなるので、伝え方を変えましょう。
強い表現
「絶対」「必ず」「いつも」「しっかり」「ちゃんとやれ」
人間にミスは必ず起こります。ある程度のミスを許容するスタンスがないと部下のパフォーマンスは下がります。強い表現を使いすぎると、成果を伸ばすことよりも怒られないようにすることが目的となってしまいます。
「怒り」のコントロール
セールスマネージャーが成功するか失敗するかは「怒りのコントロール」に掛かっていると言っても過言ではありません。怒った側は怒りの継続時間はほんの一瞬ですが、怒られた側は負の感情が1日~数か月以上継続します。そして、怒られた側の最も大きな悪影響は「モチベーションの低下」です。
恐怖政治は最もレベルの低いマネジメント手法
怒りとは、相手を動かすために使用する最もレベルの低い方法です。自分の思い通りにいかず、ギャーギャー怒ったり泣いたりしている子供と同レベルで、言葉で相手を動かすことが出来ない言語化能力の低い人間がとる手段です。
怒鳴ってばかりのマネージャーは、自分のマネジメントレベルの低さを認識することからスタートしましょう。
怒りの発生原因
「怒り」とは自分の「~べき」と相手の「べき」の不一致で起こります。そもそも「べき」は人によって違います。
エスカレーターでは、大阪人は右に並び、東京人は左に並びます。自分の「べき」を相手に押し付けることは、東京人が大阪人に対して「左に並べ!!」と怒鳴っているようなものです。
自分の「べき」と相手の「べき」を違いを認識し、「東京では左に並ぶのが共通認識なので左に並んだ方が良いですよ」と正しく冷静に伝えれば普通に伝わります。怒鳴ってワザワザ負の感情を抱かせる必要はありません。
怒りの対処方法
怒りは30秒~1分待てば収まる
脳内で分泌されたアドレナリンは40秒ほどで濃度が半分以下まで収まります。怒りが発生しそうになったら、一度席を外すなどして30秒~1分ほど耐えましょう。
「べき」が違うことを念頭に入れる
自分の人生にどうでもいいことは許容範囲として片付けてしまい、重要なことだけを具体的に相手に伝えるようにしましょう。
人は変えられないという事を知る
相手を変えようとせず自分の接し方を変えましょう。
すぐ忘れる部下は叱っても効果薄い
すぐ忘れる部下に対してどんなに怒っても改善することは難しいです。人の意識は信頼できません。何か別のことを考え始めた瞬間に忘れてしまいます。また、人によってはADHDの可能性がある人もいます。そんな人にどんなに怒っても改善することはありません。
それよりも、適切なタスク管理を教える方が効果的です。スケジュール管理やリマインダー設定など、「仕組み」で改善しましょう。
おすすめ書籍
怒りのコントロール術について詳しく書かれている本です。管理職だけではなく、夫婦・家族との関係性にも活かせますのでお勧めの一冊です。
報連相では「事実」のみを確認
部下からの報連相は怒りが発生するタイミングの一つですが、感情を入れずに、淡々と確認しましょう。
例)「ほとんどのお客様がコロナの影響で見送りたいと言ってまして…」
「「ほとんど」というのは何件中の何件かな?」
「次はどうしようか?何を変えようか?」
他律要因のせいにする言い訳を潰し、自律要因で考えさせ、部下から具体的アクションを引き出せばOKです。「何やってるんだ!」「気合が足りない!」などの詰める言葉は必要ありません。
部下には試行錯誤させる
手取り足取り教えることの弊害
常に手取り足取り教える。常に失敗しないようにアドバイスする。 これらの行動は部下をダメにするケースがあります。基本的に、試行錯誤にはストレスがかかり、人はそれを避けようとします。
「何でもかんでも上司がやってくれる」
…そう思ってしまうと、部下は思考停止し創意工夫をしなくなります。最初はやり方を教えて、あとは部下に任せましょう。クリティカルな失敗以外は積極的にさせましょう。
挑戦の機会を奪わない
体験から得た学び(アクティブラーニング)が最も学習効果が高いことは周知の事実です。ただし、マネージャーからすると「部下の試み・挑戦」に対して、「それは自分も既に経験した」という既視感が発生します。
その試み・挑戦に対して、すぐに否定してしまうと、体験から得る学びの機会を奪ってしまいます。時にはチャレンジさせてみることも部下の成長には重要です。
問いかけを増やす
また、打合せやミーティングでは、マネージャーが一方的に話すのは部下のアウトプットの機会を奪っています。そしてラーニングピラミッド的にもマネージャーの一方的な話は5%程度しか部下の頭の中に入っていません。
マネージャーは一方的に話すのではなく部下への問いかけにより、アウトプットをさせることをおすすめします。
組織構造を理解する
これもマネジメントの鉄則ですが、中飛ばしの指示はNGです。なぜなら
- 中飛ばしされた人間のマネジメント力が育たない
- 部下が中飛ばしされた人の言うことを聞かなくなる
中飛ばしはやめて、直属の部下を信じ、あなたはあなたの仕事をしましょう。
おすすめ書籍
まとめ
これらは、私が意識していたほんの一部です。マネジメントは感覚で行ってしまうと組織を崩壊させてしまいます。必ず外部研修・書籍などでマネジメント方法を学んでから実践することをおすすめします。
おすすめの書籍です。(僕のバイブルです)
こちらは保険・不動産営業のマネージャーが絶対に読むべき本だと思っています。落ちこぼれ支社を数多く再生したプルデンシャルマネージャー(役員を経て現在独立されている八木さん)が書いた本です。