私は元々外資保険会社でマネージャーをやっていましたが、コロナ発生直後、旧来の手法のままでは保険屋さんが勝つことは至難の業だと思っていました。
そして打開策を見つけるか、保険以外の生き方を見つけなければゲームオーバーだ。と考え、マネージャーとして新人達に具体的な打開策教えることが出来ないと諦めたため独立・起業しました。
現事業が落ち着き、あれから私も色んな経験を経たので、改めて保険屋時代を振り返り勝ち筋がないかを考えてみます。
このままでは勝てないと思った背景
コロナ禍では紹介営業が至難の業
外資系の生命保険外交員は紹介営業が基本です。
ただし、その紹介営業をうまく機能させている人はほんのごく一部です。
そして、コロナ禍で人の交流が希薄化し、紹介営業の難易度は飛躍的に上がっています。
商品性の低下
生命保険業界では過去に何度も料率改定が起こっています。特に料率改定により打撃を受けている商品が積立型の保険です。この料率改定により私自身が販売したいと思える商品がほとんどなくなってしまいました。(掛け捨て保険を除く)
私の保険観は
万が一があったら身近な人にお金の負担が行く。
それが嫌か嫌じゃないか。嫌ならば自分で対処するべし。
その対処の方法として…
①毎月負担にならない保険料の商品が良いか
②何もなかったら全額返ってくる方が良いか
③両方の合わせ技がよいか
です。
度重なる料率改定でも変額保険は可能性がありましたが、変額保険は老後まで万が一が”なかった”場合に全額返ってくる訳ではありません。解約返戻金に最低保証がないからです。
だったら、保障は毎月安い掛け捨ての保険でカバーし、資産形成は「つみたてNISA」などで行えばいいじゃん。
という価値観に変わりました。
…ただし、掛け捨て保険のみの販売だと所属していた会社のコミッション率的に生活するのがかなり厳しくなります。そのため、副業や不動産投資で収入を補いながら行うことを考えましたが、私が所属していた会社は副業NGでした。
ましてや、私が今後採用する新人は不動産投資が出来るほどお金に余裕もありません。
保険不要論の台頭
保険不要論は2017年くらいから多くの書籍などで論じられてきました。そして、2020年あたりから人気Youtuberなどが「保険不要論」を取り上げ始め、一般論として浸透しつつあります。
この保険不要論により、新人保険屋さんが対応できずに苦戦しているのをよく見かけます。特に一社専属の保険屋さんはお客様から「保険屋としてのポジショントーク」として捉えられがちです。
保険も証券も不動産も扱えるような総合代理店の人が、保険の重要性を唱えるのであれば説得力があります。
ちなみに、アメリカでは代理店制度が主流です。一社の生命保険しか販売できない直販部隊ではなく、代理店を通して複数社の生命保険・損害保険を扱い、さらにIFAとして投資助言も行っています。そんなエージェントが総合的に判断し、生命保険の必要性を語っているので説得力はあります。
そして、おそらく日本も代理店制度が主流となっていくと思います。そのため、保険以外の金融知識も積極的に勉強する事をおすすめします。
保険屋さんが取るべき戦略
コロナ禍で売れている営業マンが既に取っている戦略や、私が保険業界を離れてから学んだ多くの企業がとっているマーケティングなどをご紹介します。
SNS戦略
Twitter、Instagram、YouTube、TikTokあたりは取り入れた方が良いでしょう。自分の価値観・考え方をnoteにまとめブログとして展開し、それを元にYouTubeやTikTokで話します。
またこれらは多くの専門知識が必要なので不動産、保険屋、税理士などのチームでやるのが良いかと思います。ただし、チームを組むと何かしらの仲違いが起こるので必ず自分がチームの中核を担う事です。そして、不動産、税理士のポジションはすぐに入れ替え可能な状況を作った方が良いでしょう。
正直、生命保険の性質上、SNSやブログからの流入はかなり少ないと思います。ただ、SNSを積極的に行うことで自分の人となりを知ってもらうことで、会うハードルは大きく下がります。
また、「メディアで発信している人」=「ちょっとした芸能人に会う」という感覚もありプレミア感を出すこともできます。
次のハロー効果にも繋がりますが、この「ちょっとした芸能人に会う」という感覚を持たせられるかどうかが非常に重要です。
本気でSNS運用を行ってブランディングしていくのでしたら、まずはTwitterあたりで自分の考え方を投稿していくことをおすすめします。なぜかというと、Twitterだと140文字という短文で自分の考え方を伝える必要があり、投稿を続けることで営業におけるトークのキレが圧倒的に上がるからです。
生命保険以外の分野で「凄い人」になる
- イチローが話す保険観
- 橋本環奈が話す保険観
- 孫正義が話す保険観
- 保険屋が話す保険観
皆様は誰の話だったら聞いてみたいでしょうか?
イチローの保険観とか聞いてみたいですね。そして、イチローの話を聞いた多くの人はなぜか納得してしまうと思います。
これがハロー効果です。ハロー効果とは…とある特定のジャンルで目立つ実績があれば、その人が専門としないジャンルの話でも妙に納得してしまうというやつです。
保険屋が自分の話を多くの人に聞いてもらう工夫として、保険以外の需要があるジャンルで「凄い人」になることをおすすめします。
私の周りでは「営業学」という分野で顧客(特に社長)たちから「凄い人」認定された人は継続的な紹介が出てトップクラスの営業成績をキープしている印象です。
自分が強みとするジャンルは、自分の仕事や人生に直結するものが良いかと思います。
キャリア相談、転職サポート、デジタルセールス、投資、節約情報などが需要が高いかと思います。
私の場合は、自分でゼロから考えるのが大変だと感じていたので色んな研修に参加して、その研修で話されていた内容にプラスアルファを加えてお客様に情報提供していました。
例えば・・・
部下の育成にお悩みのあなたへ【CoachEd】
部下育成やマネジメントの専門知識があれば、企業の経営者に対してコンサルできるようになるかもしれません。
【エムエム デジタルセールス・アカデミー】
最近はSaaS系企業のスタートアップが沢山立ち上がっています。SaaS・IT商材を売れるようにサポートできれば、唯一無二の保険営業マンになれるかと踏んでいます。The Model型組織×プルデンシャルセールスメソッドを組み合わせれば最強の営業組織が出来あがるかと思います。
ことような保険屋以外の付加価値を高めることで、あなたから加入するメリットが高まります。このような自己研鑽を行うことで、保険屋以外のキャリアでも活躍できる可能性が高まっていくことでしょう。
ナーチャリング(顧客育成)を行う
直接お客様に会うことが難しい/嫌がられる昨今、保険屋さんにもナーチャリング(顧客育成)は重要な要素となってきます。
ナーチャリングとはマーケティングにおける「見込み客を顧客に変えるために育成する」ことです。
良く用いられる手法として
- メルマガ
- SNS
- LINEのステップメール
- ブログなどのオウンドメディア
- セミナー
- コミュニティ形成
などがあります。このようなナーチャリングを通じ、お客様の興味関心を強め本商談に繋げます。
公式LINEのステップメール配信
ナーチャリングにて公式LINEを用いたステップメール配信のメリットは
- 自分の保険観を伝えることが出来る
- 担当者としての価値を伝えられる。
- 紹介のハードルが下がる
等があります。
そして、ステップメール配信後5-7日目に、自分からFP相談を受けてみるか尋ね商談に繋げます。
公式LINEのみだと機能に制限がありますが、以下のツールを使用すると様々な顧客分析が可能となります。公式LINEは最初の戦略が重要となります。途中でツールを導入しても、それまでに友達登録してくれた人は反映されないなどの問題があるため、最初から利用することをおすすめします。
コミュニティを作る
長く売れている保険屋さんは必ずと言っていいほど自分が起点のコミュニティを形成しています。LTVが最大化するようなビジネスパートナーを選定し、顧客群に対してメリットのある活動を行うと良いでしょう。副業コミュニティ、経営者コミュニティ、営業コミュニティなんでも結構です。
※LTV:顧客生涯価値「ある顧客から生涯に渡って得られる利益のこと」
LTVを最大化するビジネスパートナーになりえる人
- 投資用不動産の営業
- オーダースーツ
- 税理士・司法書士
- 結婚相談所の経営者
- 出張料理人
ちなみに、既存のコミュニティに後から参加しても主導権を握れず、ほとんどメリットがない気がします。
SFA/CRMツールの導入する
私が保険営業マン時代、社内のシステムが使い物にならず自分の頭の中とLINEとエクセルでセールスの状況を把握していました。おそらく、機会損失に繋がってしまっている見込客が大量にいたと思います。
上記の画像のようなSFA/CRMツールで
【初回面談 ⇨ヒアリング ⇨プレゼン ⇨クロージング ⇨申込み】
のように商談プロセスを設定することで
- どのフェーズにどのお客様がいるか
- そのお客様と誰がどんなアプローチをしているか
- いつどんなアクションをするのか
- 何日間放置してしまっているか
- 売上の予測
などを直感的に把握することができます。もしコミュニティを作りLTVを最大化していくならSFA/CRMツールの導入をおすすめします。
私の紹介でツールを導入される方は、SFA/CRMツールの設計や、営業・マネジメント研修のお手伝いをしてもOKです。(月1社限定)
オンライン相談を積極的に取り入れる
ぶっちゃけ、SaaSやIT系の法人営業は今はほぼ全てオンライン商談です。
そういう人達からすると、対面営業を行っている保険屋さんは少し旧時代的に感じます。
オンライン営業をしっかりと取り入れましょう。
また、オンライン商談を取り入れることで、限定されていた対応エリアから全国各地に拡大します。
Webマーケティング×オンライン商談により保険屋としての可能性が大幅にアップします。
リーズには手を出さない。
保険屋さんは見込客開拓が肝です。
肝の部分を他人に委ねてしまうと、いつまで経っても誰かに依存する必要があり、ビジネスにおいて主導権を握ることはできません。
逆にこれができれば自分が営業しなくても共同募集という形で、時間的リソースが大きく空けることができ、副業や自己研鑽に時間を割くことができます。
見込客開拓のためにオフライン/オンラインともに全神経を注ぐことが保険屋として本当の意味で勝てる人材になるかと思います。
また、一方で様々な業界を見ても保険屋さんはオンラインが著しく苦手です。
YouTubeにWeb集客やSNS集客について詳しく解説している動画が沢山あるので勉強する事をおすすめします。
転職する
旧時代的な紹介営業のみで動きだけでは似た業種である不動産営業などのtoC営業職にしか転職することは難しいでしょう。そして、転職先で全く同じ悩みを抱えることになります。
ただし、一定の成績(最低でもMDRT以上+財務知識)があれば、M&A仲介業界への転職も大いに可能性があります。
また、上記の全てに挑戦して成果が出せなかったとしても、これらの知識・経験を活かしSaaS×TheModel型組織への転職の可能性も飛躍的に上がります。
【SaaS × The Model型組織に好まれる方】
・法人営業経験者
・SaaS営業経験者
・「行動量<質」を重視するタイプ
・改善してきたことを言語化できる
・SFA/CRMツールを設計できる
保険屋さんは、保険営業だけではなく、Free to workを活かし他業界の営業としての市場価値を上げることもおすすめします。
転職相談やSFA/CRMツール導入等のご相談は以下までお願いします。
また、私は主にM&A業界、SaaS業界への転職支援が得意なのですが、未経験職種への転職支援は得意ではありません。未経験職種への転職支援を専門的に行っている業者がありましたのでこちらをご参考にしていただければと思います。