「目標設定してモチベーションが挙がっても、翌週には元通り…」
「目標を叶えたいのに雑念が多い…意思が弱い。」
「成功している人たちはきっと強靭な意思を持っているのではないか?」
そんな風に思ったことはないでしょうか?
実際はそうでもありません。中には強靭な意思を持った人もいますが、人間の意思は基本的に弱いものです。そんな中でも結果を残せる人は、自分の意思が弱いことを理解し、結果を残すためのセルフマネジメントをしています。今回はそんなセルフマネジメントについてお話していきます。
目標が達成できない代表的な理由
目標達成するためには、まず目標を明確化と同時に、目標達成までのプロセスも明確化すべきです。なぜなら、目標を設定したけど、
- どう行動すればいいのかわからない
- 目標が偏りがある。
という課題を抱えている人が多いからです。
①どう行動すればいいのかわからない
目標に対するプロセスが漠然だと、第一歩目をどう踏み出したら良いかわからず行動には起こせません。夢や目標も机上の空論に終わってしまうでしょう。
例えば、営業マンで「成績No.1をとる!」という目標を立てても、必要な第一歩目の行動にわからず、気づけば想いが風化していた…なんてこともあります。No.1になるためには「見込み客を見つける」「商談の精度をあげる」「人間性を磨く」「見た目を良くする」「一流を知る」…など様々な分野においてプロセスを細分化し、すぐに第一歩目を踏み出せるように準備しなくてはなりません。ぼやっと目標を立てただけでは、いつまで経っても目標達成できません。
②目標に偏りがある
例えば「お金持ちになる」という目標を立てても「思考力」が浅ければ短絡的な金儲けに走ってしまいます。「人間性」も連動して成長しなければただの成金になってしまいます。「ファイナンシャルリテラシー」が低ければ、浪費に費やしてしまい稼いだお金がほとんど残りません。
また、「優秀なエンジニアになる」という目標を立てて、技術力ばかり磨いても「コミュニケーション」が気持ち悪ければ一緒に仕事をしたいと思いません。時代の流れを読む「ビジネス感覚」がなければ極めた技術が実は時代遅れで使い物にならないこともありえます。目標達成するためにはバランス良い成長をしなければなりません。
そこで、この2点の解決に役立つオープンウィンドウというツールをご紹介します。
オープンウィンドウ
オープンウィンドウとは「一流の達成力」という本の著者である原田隆史さんが考案したものです。日ハムの大谷選手も高校一年生の時の取り入れていたことで話題になりました。そんなオープンウィンドウは以下の手順で作成します。
一流の達成力 原田メソッド「オープンウィンドウ64」/原田隆史/柴山健太郎【1000円以上送料無料】価格:1,540円 (2022/4/4 11:56時点) 感想(0件) |
作成手順
- 取り組むテーマを決め、ど真ん中(黄色)に目標を書く
- 基礎思考を8つ周囲に書く(心技体&生活バランス良く)
- 基礎思考から8つの実践思考を書く(具体的な活動や行動「○○をする」というように)
- 毎日眺め行動を習慣化させる。
※基礎思考や実践思考は具体的に自分が行動を起こしやすいように期日の設定と「○○する」という形で書くと効果的です。
このツールを使うことによって目標達成までのプロセスがイメージしやすくなり「どう行動すればいいかわからない」という問題が解消され、第一歩目を踏み出しやすくなります。また、基礎思考を心技体&生活をバランス良く設定することで「目標の偏り」が解消され、人間としての総合的な成長ができます。
スケジューリング〜管理下にある時間を管理する〜
オープンウィンドウによりバランスの良い成長目標と、それに伴う実践思考が明確になり、目標到達への第一歩が踏みやすくなったことでしょう。あとは行動に移すのみです。
しかし頭ではわかっていても、人はなかなか誘惑に勝てない動物です。例えば、仕事終わりに飲みに誘われたり、自宅に帰れば面白い番組が放送されていたり、ネットを開けば気がつけばネットサーフィンをしてしまう。そんなことはないでしょうか?
そんな誘惑を断ち切るために、すぐに実践行動を手帳にスケジューリングしてしまいましょう。手帳は図のようにバーチカルタイプが好ましいです。人は「いつやろうかなぁ」と思うと先延ばしをしてしまいます。バーチカルタイプの手帳にToDoを組み込むことでそのような無駄な思考を排除できます。
また、灰色は会社に管理されている時間、黄色は自分の管理下にある時間です。この黄色の時間を実践行動で埋めて行動すれば、あなたの1年後は圧倒的に変わっているでしょう。逆に、日頃の誘惑(意味のない飲み会、ネットサーフィン、漫画)ばかりしていては1年後も10年後も人生は変わらないでしょう。
目標達成のためにスケジューリング方法をうまく活用してみてください。
現状維持バイアス〜人の意思は弱い〜
目標に向けた手帳が完成したかと思います。この手帳通りに行動すれば、あなたの未来に革命が起こることでしょう。
ただし、それは行動に移せば…の話ですが。
正直、私はほとんどの方が行動に移せないと思っています。なぜならば、人には『現状維持バイアス』という恐ろしい力が働いているからです。この現状維持バイアスを乗り越えなければ、目標達成や夢は永遠につかめません。この現状維持バイアスについて説明していきます。
まず、人にはコンフォートゾーンというものがあります。簡潔に言うと「居心地の良い空間」です。例えば「自分の過ごしている職場での常識」「日頃の飲み仲間」「いつもやっているルーティンワーク」「自宅のベッドでのスマホいじりの習慣」などです。このコンフォートゾーンにいるときは気が楽なのですが成長は見込めません。むしろ、同じことばかりやっていては脳の神経回路は必要最低限だけを残して徐々に消え、思考力・創造力が低下します。単純作業を繰り返している人は学生時代のほうが創造力が豊かだったことでしょう。
逆に、目標達成のために掘り起こした実践思考は、コンフォートゾーン外にあるでしょう。例えば「今までやってこなかった読書」「社外の新しい人との交流」「週2回の筋トレ」など。このような実践思考があなたを成長させ目標達成や夢に近づかせます。
…そうはいっても、人はコンフォートゾーン外にある行動を起こそうとする時に大きな負荷がかかります。そして、この負荷を避けるために「自信がない」「緊張」「恐怖」と言った感情を脳は人に抱かせようとします。
さらに「やっても意味がない」「やっぱり今のままで良いや」「俺は俺だし」などと、避けようとする自分を正当化するために思いつく限りの言い訳(自己防衛)をします。これを「創造的回避」と呼びます。今までは「やる理由」を探し、夢を描きワクワクしていたのに、いざ行動や決断の直前になると別人格が憑依したかのように「やらない理由」を探すようになります。これが現状維持バイアスです。
この現状維持バイアスに打ち勝たなければ、何にも挑戦できなくなり人生は永遠に変わらないでしょう。そして、老後に「あのとき、あの決断をしておけばよかった」と後悔することでしょう。(実はこれが老年の後悔の第1位だそうです)
「やった後悔」は短期的に終わり、その後の成長に繋がることが多いですが、「やらなかった後悔」はあなたが棺桶に入るまで尾を引きます。
現状維持バイアスの対処法
この現状維持バイアスはそもそもなぜ存在するのかというと、人間の生存維持機能の一種だと言われています。未知の生物・場所・経験などを「危険」だと見なし回避することで生存維持を高めています。この現状維持バイアスがなければ人間はどんどん危険領域に踏み込み、あっという間に絶滅していたことでしょう。
しかしながら、生存維持機能としての現状維持バイアスは主に狩猟採集民族時代の話であり、これからは未知の領域にチャレンジして自分の価値を高めていかなければ社会的な生存維持は難しいでしょう。そのため、現状維持バイアスのコントロール方法をいくつかご紹介します。
付き合う人を変える・環境を変える
人は他人の感情・言動・味覚など伝染する性質を持っています。レモンを酸っぱそうに食べている人を見ると、自分もレモンを食べている人と同じ脳の部位が活性化して唾液が出てくるようです。また、笑顔の人を見るとつられて笑ったり、泣いている人を見るともらい泣きしてしまったり、他人の気持ちを仮想体験(共感)します。
これをミラーニューロン効果と呼びます。つまり、特定の環境に長くいると、その環境の人たちの考え方・言動・行動などがあなたに伝染します。
そのため「ネガティブな人たちに囲まれて自分だけポジティブになる」、「保守的な人たちの中で自分だけが挑戦的な人間になる」ということは、脳の構造的に難易度が高いと考えられます。よく「多くの時間をともに過ごしている5人の平均があなた」などと言われますが、これはミラーニューロン効果によるものなのかもしれません。
そのため、自分を変えたいならば「理想像に近い人との過ごす時間を増やす」そして「環境を思いっきり変えてみる」ことをおすすめします。そうすることで自分のコンフォートゾーンが強制的に引き上げられるでしょう。
パブリックコミットメント
自分に目標達成の強制力を働かせるもう一つの方法としてパブリックコミットメント(周囲の人に目標宣言する)があります。これには「人に言ってしまった手前、何としてでも達成しないと…」という感情が働きます。また、周囲の人に目標が共有されるので、人の助けを得られやすいという効果もあります。
人は何かに頑張っている人を見ると応援したいものです。パブリックコミットメントはストレスがかかりますが、あえて皆にあなたの目標を宣言してみましょう。
最初の5分だけ取り掛かる
人には「物事を先延ばしにする」という弱さがあります。例えば、勉強や読書をしようと思っても習慣化していなければ腰が上がりにくいものです。
そんな腰を軽くする考え方が「とりあえず5分だけやってみよう」です。実は人間は「約5分間」物事に取り掛かると、徐々に気分が上がり集中力が増していく作業興奮という性質があります。「やる気が出てから取り掛かろう」ではなく、嫌々でも「とりあえず5分だけ」という考え方で取り掛かってみてください。やる気は「後から」ついてくるはずです。(私もこのブログの書き始めは嫌々取り掛かるのですが、気がついたらだいたい2−3時間経過しています笑)
良い行動を習慣化させる
行動を習慣化させるためには、簡単な行動は短期間、難しい行動は長期間かかり、その平均が66日だそうです。大体2ヶ月を目安に取り組みストレスなくできれるようになれば習慣化している証拠です。良い習慣を作るためにまず目安として2ヶ月間取り組むために、
- 付き合う人・環境を変える
- パブリックコミットメント
- 最初の5分だけ取り掛かる
を取り入れて継続してください。良い習慣を作ることは負荷がかかりますが、一度習慣を作ってしまえば今度が習慣が自分を作ってくれます。人の意思は弱いですが習慣の力は偉大です。きっと数年後には圧倒的な成長を遂げていることでしょう。