営業職として最高峰と言われるM&A仲介。20代で年収数千万円も夢ではありません。
業務内容、やりがい、内定が出る人など、これまでの経験を元に傾向がわかってきたのでまとめていきます。
M&A仲介とは
M&Aとは買手企業が売手企業を買収することです。M&A仲介は売手と買手の間に立って、双方の利益が最大化するように調整を行っていきます。
事業承継問題
現在中小企業では『後継者不足』が大きな問題となっております。中小企業社長の平均年齢は66歳です。20年前は平均47歳なので一気に高齢化しています。そんな高齢化した経営者達の喫緊の課題は
『事業承継』であり…
「息子娘が家業を継いでくれない。経営者として有望な従業員もいない…。」
「会社を畳むとしても、長年育て上げてきた会社を潰すのは…」
「潰すとしても、物上保証しているから金融機関に返済できる現金がない…」
※物上保証:土地や建物を担保にお金を借りる。
そんな悩みを抱えています。
これらの後継者問題を一気に解決できるのがM&Aです。また、買い手側も新規事業をゼロから起ち上げるより、ノウハウや実績が貯まっている企業を買収して事業展開した方が圧倒的にスピーディです。
このような売り手と買い手をマッチングさせるのがM&A仲介の役割となります。
M&A仲介の業務内容
ソーシング
売手企業のソーシングを行います。帝国データバンク、東京商工リサーチ、SPEEDAなどの企業情報データベースから、採算が取れる企業リストを出し、片っ端からテレアポやDM・手紙を送ります。
DXが積極的に行われている企業では社内で営業支援システムを開発し自動化しているようです。
営業・準備
DMや手紙に対して連絡が来た売手企業に訪問します。そして、連絡いただいた理由をヒアリングします。
もちろん理由は千差万別で
「M&Aでお金を得たいのか」
「後継者不足の問題を解決したいのか」
「事業拡大したいのか」
「会社を譲渡して引退したいのか」
様々な理由が出てきます。
これらの理由・不安に対して
「M&Aによってどのように解決できるのか?」
「M&Aによりいくらで売却できるのか?」
と、M&Aによるソリューションを提案していきます。そして、売手企業様がM&Aに挑戦するならアドバイザリー契約を締結します。
買手の募集
営業活動により、売手企業様とアドバイザリー契約を締結した後は買手企業を見つけます。社内DBもしくは社外DBのリストに対し、とにかく片っ端から電話します。
中には買手と売手の担当を分けているM&A仲介会社や、一気通貫で売手&買手を両方担当するM&A仲介会社や買手のソーシングのみ別部隊を構築しているM&A仲介会社もいます。
また、買い手に見せるIM(インフォメーションメモランダム)という売手企業の概要書を作成する必要があります。
このIMのクオリティ次第で買手が付くか付かないかが決まるようです。
買手の選定
買手がある程度見つかったら、売手&買手の社長同士の面談(TOP面談)や工場見学などをセッティングします。
結婚で言うところの『お見合い』です。ここで両者意気投合したら、『基本合意書(婚約みたいなもの)』を結び、M&Aに向けて条件交渉などを行っていきます。
条件交渉
売手企業の価格を算定し入札書の作成を行います。その入札書を見て、売手企業がOKであれば売買契約書のドラフトを作成します。その後、買収監査(買収DD:デューデリジェンス)の実施をします。
買手側に監査法人のような専門家が登場し、売手側のリスクを正確に洗い出します。売り手側はそのリスクに対して対処をしなければいけませんが、基本的に専門部隊がやります。M&A仲介はその書類を集めて提出するなどのサポートを行います。
ちなみにこの監査では、
既存不適格建築物
土壌汚染
境界未確定
アスベスト
消防法違反
などの不動産関係
デリバティブなどの金融商品
税金の追徴
未払い賃金など帳簿に乗ってない支払い。
などのトラブルが出るようです。
ちなみに私の友人の会社では『既存不適格建築物』が見つかり、M&Aが長い期間ストップしました。
ちなみに『売れる会社』とは以下のような会社とのことです。
- 黒字であること。1,2期目は仕方ないが、3期連続で赤字がないこと。
- 借入金が通常の営業で弁済できる範囲であること。最低でも年商以下。
- 粉飾決算、不正経理をしていないこと。
- 企業価値を大きく損失する簿外資産がないこと。
- M&Aによって互いの事業が拡張する可能性があること。
M&Aプロセスの後半で問題が発生すると、それまでの努力が水の泡となります。
①~⑤の判断をM&Aプロセスの前半で出来るように分析する力が大切になってきます。
クロージング
株式譲渡日の手続きなどを行います。
M&Aプロセスが最終局面に入ると、以下のような互いの不安が急激に高まるケースが多いとのことです。
「もっといい相手がいるんじゃないか?」
「価格が安すぎるのではないか?」
「良い後継者がいるんじゃないか?」
売主様からしたら自分の娘を嫁に出すような感覚とのことです。
ここで決裂すると再交渉は不可能となるケースが多いとのこと。一度初心に立ち返って、なぜM&Aをしようと思ったのか思い返し、どうすることが会社にとってベストなのか客観的に見つめ直すように促すこともM&A仲介の仕事となります。
PMI
ポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)とはM&A後の統合プロセスで、
経営方針
社内制度
営業体制
意識・文化
内部管理体制
の統合などを行います。
M&Aが真の意味で成功するか否かは、このPMIによって決まります。
基本的にはM&A仲介はここまでは行いません。大手M&A仲介会社はPMIを専門とした子会社を設立したりしています。
M&A仲介のやりがい
以下は、実際にM&A仲介で働いている人たちの声です。
「イレギュラーなトラブルなどが発生するが、最後売主様当時の心境などを笑いながらお話いただくと、お手伝いできて良かったなと思う」
「売却にあたって、売主様の琴線に触れながらサポートが出来る点」
「オーナー様が築き上げた会社を承継するという人生を大きく左右する決断をサポートするという点」
「大きなインセンティブという成果が目に見え、大きな達成感を味わえる」
「自分が携わった案件がプレスリリースとなって世に発信される点」
M&A仲介のやりがいは
大きな報酬
お客様からの感謝
大きな金額・決断のサポート
という点が多いようです。
M&A仲介のセカンドキャリア
事業会社のM&A部門の起ち上げや責任者
これからM&Aによって会社を大きくしていこう、という会社のM&A部門の起ち上げや責任者に抜擢されることが多いようです。
投資銀行やVC・PEファンドへステップアップ
戦略コンサルの経験がある方などは、より専門性の高い投資銀行やファンドで活躍する人も多いようです。
M&Aアドバイザーとして独立・起業
これまでの経験を活かしM&A仲介会社を起ち上げる方も非常に増えてきている印象です。
M&A仲介に書類選考が通る人
書類選考が通る人は
・営業としてTOP10%の実績
・お客様が中小企業の社長
・法人の新規開拓の経験
・財務諸表を読める
・32歳以下
これらの実績・経験を持った方は書類選考が通過する確率が高くなります。
面接に受かる人
M&A仲介の面接で聞かれる質問はどの企業もだいたい同じです。
・話の切り替えしが速い。
・話し方が丁寧で、ハキハキしている。
・回答の内容が深い・鋭い
・将来のビジョンが明確
・見た目が良い(さわやか、パリッとしている)
これらの素養を評価してもらえれば内定確率は大きくなります。
面接は一朝一夕では改善されません。
最低でも5回はアウトプットの練習をしましょう。