営業に向かう際、上司などに「雑談してこい」「まずは信頼関係築いてくるんだよ」などざっくりとしたアドバイスをもらうことはありませんか?
でも、そもそも…
- 「なんの雑談をしたらいいのか…」
- 「信頼関係ってどうやって築くんだよ…」
- 「学生のときもコミュニケーションそんなに取らない方だったし…」
- 「どうしたらいいかわからない…」
そんな営業に悩んでいるあなたが、次のステップへ成長する手助けになる情報を提供します。
雑談とは…
20代のうちに身に着けておくべきスキルは「汎用性のあるスキル」であると言われています。「汎用性のあるスキル」とは
- コミュニケーション能力
- PDCA力
- 英語のスキル
- 新しいスキルを身につけるスキル
とも言われています。たしかに、コミュニケーション能力は以下のような仕事やプライベート全てにおいて必要となってきます。
- 上司や同僚とのやり取り
- 家族とのやり取り
- 合コンでのやり取り
そのため、営業ではない人にも役に立つので参考にしてみてください。おそらく、これをマスターできた方は男女問わず人からモテるようになることでしょう。
また、商談の前の雑談とは「アイスブレイク」の意味合いも含まれています。つまり「お客様に自分の話を聞く体勢を整えてもらう」ということです。そもそも、お客様が「警戒心がある」「自分をナメている」状態であれば決して商談はスタートしてはいけません。相手の聞く体制が整っていない状態で、どんなに良い話をしても相手の心には届きません。そんな心の分厚い扉を開くために「雑談」が必要なのです。
そんな相手の心の扉を開かせる雑談方法について、お話していきます。
相手を気持ちよくさせる
これは自分の「リアクション」によって「相手の承認欲求を満たす」という意味です。承認欲求とは「人から認められたい」と感じる人間の基本的な性向であり…
- 「自分の話を熱心に”うんうん”と聞いてくれる」
- 「興味を持って自分の話を引き出してくれる」
- 「常に笑ってくれる」・・・。
こういった態度を示された時に人は自分の「承認欲求」が満たされ、相手に対し好意をいだきます。また、逆に…
- 「自分の話を聞いてくれない」
- 「リアクションがない」
- 「無視される」
- 「何をしても無表情」・・・。
こういった態度を示された時に人は疎外感・虚無感に襲われます。この「相手の承認欲求を満たす」際に大切になっていくる概念が、次のメラビアンの法則です。
メラビアンの法則
「メラビアンの法則」とは話し手が聞き手に与える影響を数値化したものです。見た目、声のトーン、話の内容の3つのカテゴリに分け、それぞれがどのくらい相手に影響を与えているかというと・・・
- 見た目 :55%
- 声のトーン :38%
- 内容 :7%
とあります。この結果からもわかるように言語コミュニケーション(内容)よりも非言語コミュニケーション(見た目・声のトーン)の方が聞き手に与える印象の方が大きいということです。つまり話している内容が最高でも、それが無表情で暗い声で語られれば、聞き手に与える印象は不気味と感じたりと印象は悪いということです。
ちょっと怖いですね笑
また、たとえ悪口であっても笑顔で明るい声であれば、聞き手はちょっとした冗談だと感じるということです。
イメージつきましたでしょうか?こちらの方がまだ印象は良いですね。特に相手の話に対する「リアクション」の際は、このような非言語コミュニケーションを意識してリアクションをしてください。
笑顔の練習
非言語コミュニケーションを意識すると言っても、作った「笑顔」がぎこちない…そんなことはありませんか?自然と出る笑顔は普通なのに、意図して作った笑顔が自分自身でも何か違和感がある…。これには原因があります。結論から言うと、意図して作った笑いは、口角は上がっているが、「目が笑っていない」ことが多いです。
これは、相手からも不信感を抱かれたりするので早急に対処が必要です。ぜひ、目の周りの筋肉「眼輪筋」を鍛えて、眼で笑うトレーニングをしてください。
【トレーニング方法】
私は鏡に向かって、一日数十回、目で微笑みかける練習をしていました。イメージとしては涙袋を上に押し上げるイメージです。自分が納得できる笑顔が作れるまで練習してみてください。
人は思っている以上に、相手の表情の微妙な変化を感じ取る能力があります。そして、相手の目を一番見ています。その目が笑っていないというのは、致命的なのですぐに練習しましょう。
質問力を鍛える「5W1H」
相手の話に対する「リアクション」だけでは会話は続きません。自分からも会話を広げなければいけません。
- ただ、共通の話題がなさすぎる・・・。
- どうやって広げればいいかわからない・・・。
そういったケースもあるかと思います。そんな時に大事になってくるのが質問力(5W1H)です。
- 「普段休日は何をされているんですか?」(What)
- 「どちらに住んでるんですか?」(Where)
- 「どちらの方がお好きなんですか?」(Which)
- 「普段はどなたとよく飲まれているんですか?」(Who)
- 「どうして今の会社を選ばれたんですか?」(Why)
- 「どうやったらそんなすごいことできるんですか?」(How)
…などです。非言語コミュニケーションを意識した「リアクション」は比較的簡単にできるのですが、この質問力をつけるには「練習・慣れ」が必要になってきます。常に日頃の生活から、相手に興味を持って色々なことを引き出す練習をしてください。自分の中で聞く質問をパターン化してもいいかもしれません。合コンでテンパって「年齢はおいくつなんですか?」などと、あまり女性が喜ばない質問をしてしまうかも・・・。
相手に自分の得意分野を話してもらう
そうはいっても、
- 「全く共通点がなさすぎる・・・」
- 「全然会話が広がらない・・・」
という方に出会うことも営業マンなら多々あることでしょう。そんなときは、先程学んだ「リアクション」&「5W1H」で相手の「得意分野」を探ってください。
なぜならば、人は「自分の得意分野」に関しては「待ってました!」と言わんばかりに語りたがるものです。そして語らせたらほぼ雑談としてのゴールです。
興味を持って、
- 「なるほど!」
- 「知らなかったです!」
- 「すごいですね!!」
・・・と、相手の承認欲求を全力で満たしに行きましょう。
この方法の良いところは、
- 自分自身は特に何も語らず「リアクション」だけしていれば良い。
- 自分自身もいろんな分野の知見を広げられるところです。
私自身も特に②のメリットのおかげでいろんな知見を得ることができました。
そしてそれを新たにお会いしたお客様に語ることで、「こいつできるぞ…」と思っていただく事にも幾度となく成功しました。
人は自分の話を熱心に聞いてくれる人を無下にはなかなかできません。相手の心の扉はすでに開かれたと言っても過言ではありません。ここまで来たら、様子を見て商談を切り出しましょう。
信頼関係を築く
「リアクション」「5W1H」により相手のプライベートや得意分野を引き出しました。
ただし…これがなぜ自分と相手の信頼関係につながるのでしょうか?
実は、ここには人間の心理的側面があります。
例えば、皆様は自分のプライベートの話や得意分野をどんな人に語りますか?
…おそらく「信頼」している家族や友人だと思います。実は人は…
- 相手のことを信頼しているから自分のプライベートの話をする。
- 相手にプライベートの話をしたことによって相手のことを信頼する。
この区別がつかないようです。これが次の理論です。
認知的不協和の解消
人は2つの矛盾点が生じた時に、その矛盾を解消するように自己正当化させます。
この場合は、
- 「初対面の相手に警戒している自分」
- 「それなのにプライベートの話や得意分野を楽しく語っている自分」
この2点の矛盾点を「相手を信頼する」と自己正当化することによって解消する。ということです。そのためにあなたが雑談ですべきことは「相手にプライベートの話をさせる」ことです。雑談は自分ばっかり話すことではありません。
プライベートの話を引き出すために
- メラビアンの法則を意識した「リアクション」で相手を気持ちよくさせる
- 5W1Hを使った自分の質問力で会話を広げる
この2つを念頭に置いて雑談してください。仲良くなれば、仮に商談が決まらなかったとしても、その後のプライベートの付き合いに発展し、さらなるチャンスに巡り会うこともあります。
応用編
ここまでは基本編です。
- メラビアンの法則を意識した「リアクション」で相手を気持ちよくさせる
- 5W1Hを使った自分の質問力で会話を広げる
を意識して雑談を繰り広げ、プライベートの話を引き出せるようにしてください。
…ただ、そうはいっても思い通りに行かないこともあるかと思います。例えば、
- 「なかなか質問に答えてくれない」
- 「相手の緊張がほぐれない」
- 「こっちまで緊張してきた」
など。
そういったケースにも柔軟に対応するための応用編のお話をしていきます。
自己開示
「なかなか自分の質問に答えてくれない」という警戒心や個人情報をすごく気にするお客様に出会うこともあると思います。
そんなときには「自己開示」というテクニックを使ってみてください。
相手に質問ばかりするのではなく時折、自分の情報を織り交ぜるということです。
例えば、自分の情けないエピソード、失敗談など。
自己開示をすると、相手も同程度の自己開示をしてくれる可能性が高くなります。これを「自己開示の返報性」と呼びます。そのため、警戒心の強い方などには質問したい項目の前に質問に関連する自己開示を織り交ぜていきましょう。
ただし…
- 「いやぁ〜実は僕離婚をしましてね〜」
- 「子供の頃、虐待を受けていた複雑な家庭環境でして〜」
- 「妻が不倫をしておりまして〜」
などと、いきなりディープな自己開示は相手を引かせてしまうので、きちんと段階を踏んでいきましょう。笑
パーソナルスペース
人は、あまりにも距離が近すぎると、
- 好きな人であれば「ドキドキ」
- 嫌いな人であれば「不快感」
を感じます。人にはお互いがリラックスできる適切な距離感があります。その範囲のことを「パーソナルスペース」または「対人距離」とも言います。
一般に、パーソナルスペースは前後に伸びており(上図参照)、親密な相手ほどパーソナルスペースは狭く、逆に敵視している相手に対しては広くなります。また、男性よりも女性のほうがパーソナルスペースは狭いため、距離感が近くなったりします。
こと商談に関しては、お客様は警戒や緊張をしている可能性が高いのでパーソナルスペースを広く取るなど、座る位置を工夫する必要があります。そのため、商談の環境を整えましょう。
ちなみに、異性との最初のデートなどではカウンターかL字に座ると会話が弾みやすいようです。(お互いのパーソナルスペースが被らないため。)