価値観は狭いけど、営業力がある営業マンは社会にとって害悪でしかないと感じております。極端な例が「ネットワークビジネスが稼げると思って本気で勧めてくる人」です。明らかに視座が低いです。
とはいえ私自身がそうなっていないとも言い切れないので、最近は特に自分の視座を高めたいなと感じています。なぜなら高い視座から生まれる理念を基に一生懸命働くことが、自分、及び周囲の人の幸福度を上げられると考えているからです。
そして、視座を上げる最たる職種が各業界・各業種の知見を貯めていくコンサルタントだと思い勉強してみました。参考書籍は以下の本です。非常にわかりやすくまとまっているので基礎を勉強したい方にはおすすめです。
【コンサルティングファームの機能】
①スキル・専門知識
プロフェッショナルアウトソーシング機能
ゼロベース思考機能
プロジェクトマネジメント機能
ファシリテーション機能
アクションラーニング機能
②ノウハウ・権威
ベストプラクティス提供機能
泊付け機能
③中立ポジション
諫言機能
大別するとコンサルにはこのような機能があります。
プロフェッショナルアウトソーシング
戦略立案、業務改善のプロフェッショナルを雇うことで短期間で課題解決できる。
また、『一時的』に特定分野の専門家を確保したいというニーズを満たすためにコンサルを雇う。
ゼロベース思考
会社の色が付いてないコンサルが、客観的事実に基づいてゼロから考え直す。
プロジェクトマネジメント
「いつまでに誰が何をするか」を洗い出し、担当割り振りスケジュールを管理。また会議で議論すべき内容をつめ、最大限の力を発揮できるようにする。
ファシリテーション
クライアントのサポートに回り、社員から業界、企業の業務・知識や経験をうまく引き出し整理しながら一緒に考え、課題の解決につなげる。
アクションラーニング
質の高いコンサルと一緒に仕事をすることで、経営戦略、業務改善のスキルやノウハウ、高いプロ意識の波及効果を期待できる。
ベストプラクティス提供
今まで蓄積してきたノウハウを結集することで、各課題に対して「最も効果的で効率的な方法(ベストプラクティス)」を提供できる。
箔付け
コンサルの権威を借り、客観的な意見として反対派を説得する。
諫言
上司や役員が行なってきた施策に対して、耳の痛いことも言う。言いにくいことを代弁する。
【組織】
・アサインのされ方
規模が小さめのコンサルファームでは2-3つのプロジェクトを担当する場合もある。
業務・ITコンサルは常駐することが多いので通常1人1プロジェクト
・プラクティスグループで専門性を磨く
職位
①パートナー
(director、Vice President、principal)
顧客開拓とプロジェクトの受注(つまり営業)、役員に対象を絞ったセミナーの開催や、各種書籍の出版。個人的な人脈などを通じてクライアントにアプローチし提案書を作成してプロジェクトを受注する。
②マネージャー
(プロマネ、マネージングコンサルタント)
プロジェクト管理、顧客との折衝、予算管理の3つ。プロジェクトの大まかな方針を定め各メンバーのスキルとバックグラウンドに応じて担当範囲を割り振る。
③コンサルタント
(シニアアソシエイト、アソシエイト)
ある一定範囲の業務をまとめて担当する。基本的に自分の判断で、課題を解決する仮設の構築、検証作業を進めていく。
④アナリスト
(associate、researcher)
情報収集・分析と資料作成、ミーティングの議事録作成、先輩コンサルに同伴してクライアントへのインタビュー、各種情報の収集・分析、資料作成、プログラミングのコーディングなど。
【領域】
・経営コンサル
全社戦略。「規制緩和や大きな変化の潮流を前に、今後企業経営をどうしていけばいいか?」など。事業ポートフォリオ再構築、長期ビジョン策定といったプロジェクトが挙げられる。
・戦略コンサル
「業績を回復するにはどうしたらいいか」
「新商品のマーケティング戦略を考えて欲しい」
「新規分野に事業参入するにはどうすればいいか」
マーケティング戦略、新規事業戦略といったプロジェクトが挙げられる。
・業務、ITコンサル
「サプライチェーンを効率化し運転資本を20%削減」「製品開発プロセスを見直して開発期間を60%に短縮」「Webを活用し、顧客企業へのプロモーション方法、価格設定を再構築する」など。
CRM、SCM、ITマネジメント、システムインテグレーションなどのプロジェクト。
・組織人事コンサル
業務改善を通して社員の意識変革を測るチェンジマネジメント系のコンサル。
アトラクション&リテンション、組織開発、リーダーシップ開発。
・フィナンシャルアドバイザリー経営コンサルティング
財務、金融に関する専門性をベースとしたコンサル。銀行証券などの金融グループが子会社として M & A のアドバイザリーを行うコンサルファームを抱えていることもある。M & A に関連する M & A アドバイザリーや財務デューデリジェンス、バリュエーション(企業価値評価)を中心に事業再生、不動産関連アドバイザリー、リスクマネジメントサービス。
投資銀行、証券会社、PEファームなどと共同でプロジェクトに関わることもよくある。
【コンサル会社のタイプ】
〜総合コンサル〜
『戦略から実行まで』
全社・事業戦略策定
↓
it 戦略立案、システム化構想
↓
システムインテグレーション(PMO)
業務・ITアウトソーシング
~組織人事・チェンジマネジメント~
『人と組織を変えることで戦略を実現する』
・コンサル主導で改革推進:危機的状況
・クライアント主導で改革推進:2回目以降
〜ファイナンシャルアドバイザリー系コンサル(監査法人)〜
・デューデリジェンス
・バリュエーション(企業価値評価算定)
・M&Aストラクチャー(交渉サポート、戦略の提案)
・財務リストラクチャリング(収益向上、経費削減)
・事業再生
〜国内独立系コンサル〜
・若手でも営業活動を主業務として行う
・若手でもカウンターパート(対応相手)が中小企業の社長など
・提案だけではなく実行支援まで入り込んで支援
・多種多様なセミナー(経営、営業、マーケ、業種別)
〜ブランド・マーケティングコンサル〜
・スペック競争からブランド競争への時代の中で重要視されている
・製品のコンセプト設計、ブランド戦略、デザイン
・企業理念の共創
・定量的分析に基づいて営業・マーケティング活動の収益インパクトモデルの作成も行う。
〜医療コンサル〜
・カウンターパートが医者・非営利法人なので違った難しさがある。
・MRの営業効率化
・医薬品の管理、投資収益率の向上
・病院へのIT導入
【プロジェクトの受注から終了まで】
①営業活動が実り、クライアントから相談を受ける。
経営企画、社長、企画部門の担当役員と意見交換
この段階で、顧客は比較検討段階
②関係構築後、提案書の作成
「企業の状況、問題の背景、課題の設定、解決へのアプローチ、具体的な作業内容、アウトプットの概要、期間、料金…」
この段階で、顧客は2~3社のコンペ段階
③正式にプロジェクト受注、プロジェクトチームの立ち上げ
④キックオフミーディングで顔合わせ
クライアント側チームへのオリエンや作業スケジュールの設計、担当の割り振りなど
⑤インタビュー、仮設の構築
現場との乖離を防ぐため営業同行、現場社員やエンドユーザーの声を重視。
そして、最終成果物の土台となる仮説を考える。
戦略コンサル⇒大まかな戦略の方向性
業務コンサル⇒改善すべきビジネスプロセス
ITコンサル⇒システムの要件
⑥仮説の検証と、最初の関門である中間報告
猛烈な反対がくる可能性がある。説得させるためには今までの調査分析手法・内容が確固たる客観的事実に基づいており、論理的に矛盾してはいけない。
⑦チームとして課題解決方法を策定する
代替案も準備し、それぞれの案でシナリオを描くアプローチをとることが多くなる。最終的に提案するシナリオを固め、最終報告に挑む
⑧最終報告
次回プロジェクトの提案の最高の機会でもある。
経営層への報告と提案が最大の山場。
戦略立案プロジェクトはここで終了。
業務・ITコンサルはシステム導入のためにここからPMOに入る。
【コンサルのプロジェクト】
~グループマネジメント~
企業が抱える複数の事業をどのようにコントロールしていくか設計するプロジェクト。
『複合体としての2つのモデル』
①ストラテジー型経営
ビジョン、ブランド、コアコンピタンス、事業間のシナジー創出。
日本の家電メーカーなど
②ポートフォリオ型経営
個々の事業価値の最大化、投資効率や成長性の高い事業へのシフト。
GEなど。
~長期ビジョン策定~
現状⇒理想像のギャップを埋めるための戦略オプションの策定、中期経営計画への落とし込み。
①「思い」の棚卸、「あるべき企業像」の定義
②事業の現状分析、既存事業の製品・競合・市場などの分析
③戦略オプション案の抽出、経営層を巻き込んだブラッシュアップ
④中期経営計画への落とし込みと企業ビジョンのまとめ
~マーケティング戦略~
「どうすればお客様に買ってもらえるか」を考えること。CRM戦略でより顧客の情報をタイムリーに取得できるようになった。
『顧客分析プロジェクト』
①購買決定プロセス分析
ニーズの発生⇒情報収集⇒製品評価⇒購買⇒購買後の感情・評価
②顧客セグメンテーション
細かすぎはコスト大、利益が最大化するように。
男女や年齢層で分けても意味がないこともある。
高級志向層、デザイン志向層、特定ロイヤルブランド層、機能志向層、無関心層などセグメント分けを修正する必要もある。
③顧客ニーズ分析
購買行動の背後にはどのようなストーリーがあるか?
何が行動の引き金になっているか?
④多様な意図を反映できるターゲット設定
どのセグメントに注力すべきか。
⑤アプローチ戦略の策定とテストマーケティング
分析したニーズを基にどのプロセスで訴求するか
~新規事業戦略~
①自社分析、市場分析
人材、技術、ブランド、チャネル…自社の強みを分析。
将来の環境変化、社会動向を分析し、新規事業の種を探す。
②新規事業案の構想
ゼロベース思考をフル活用し、新規事業案をいくつか作成。
③第一次スクリーニング
有力な事業案への絞り込み
④実現可能性(フィジビリティ)調査
採算性、需要見込み、課題を洗い出し、事業計画書に落とし込む。
収益モデルと収益計画の作成、組織体制、スケジュール、オペレーション詳細、プロモーション方法、必要となる投資、競合分析、課題やリスク。
⑤最終評価と戦略シナリオ策定
中長期、短期目標設定、スケジュール、組織体制などをさらに細部まで落とし込む。可能な限りのシナリオを考える。
~新規技術実用化~
①市場分析
②実用化技術の候補選定
③商品イメージづくりと不足技術の洗い出し
④パートナー候補の選定と提携交渉
⑤商品作りと見込み客のリストアップ
⑥初期の売り込み先の選定と交渉
⑦横展開戦略の支援
⇒売れることを確信出来たら横展開
~CRM戦略~
①顧客情報の収集活用体制の構築
バラバラに点在している顧客情報を統合・管理するためにDB化する。
②顧客情報の活用体制の構築
収集した情報を分析、戦略・戦術・オペレーションへとつなげていく仕組みづくりをサポート。
どのようなキャンペーンで訴求するか?
どのようなチャネルでセールスするか?
という戦術レベルまで落とし込む。
③CRM活動のPDSサイクルの浸透
Plan-Do-Seeサイクルを浸透させ、業務プロセスの改善作業をコンサルがいなくてもできるようにする。
④新規チャネルの立ち上げ
限定されていたチャネルから新たなチャネルの新設。
たとえばコンタクトセンターなど。
⑤アウトソーシング
最近ではCRMの一部の機能をアウトソーシングする例もみられる。
(すごい大変だから)
~SCM(最適な購買・在庫・生産管理)~
「原料調達⇒工場で製品製造⇒店舗輸送⇒販売」の最適化。
製造業においてはコストが数十%削減できた事例もある。
①SC戦略の立案と実現化プランニング
現在のSCの問題点の分析
拠点の再編の検討・シミュレーションなど
②SCの予測・計画立案・実績管理
各業務プロセスを再設計し、より効率的なSCを構築する段階。
調達・生産・販売は『プランニング領域⇒オペレーション領域』と2つの領域に大きく分かれる。
・プランニング領域の改善は「需要の見える化」「需給変動への対応の迅速化」「リソース最適調整」「納期回答の精度向上」など
・オペレーション領域の改善は「適切な販売受注管理、購買管理、在庫管理、生産管理、出荷管理」など
③物流サービス・物流コスト・在庫の最適化
倉庫内オペレーション改善、輸送・配送プロセス改善
倉庫内システムを、SCMシステム・受発注システム・ERPシステムと統合することもある。
④トータルシステムの導入によるシステムの全体最適
SCには数多くのシステムが導入されている。
SC全体を俯瞰するシステムの導入。
⑤RFIDの導入
バリューチェーンにおける情報の取得。紙や伝票は超だるい。
⑥アウトソーシング
サプライチェーンの一部をアウトソーシング。
~PMO(業務&ITコンサル)~
多数プロジェクトを一元管理するオフィス。専門知識がないとわかりにくいIT系プロジェクトにおいて重要な存在。クライアント先に常駐が多い。
『PMOの5大機能』
・資源管理(人員、資金、設備など)
・プロジェクト計画とアップデート(マイルストーンやスケジュールの策定)
・進捗管理(課題の網羅的把握、優先順位付け、解決状況の管理)
・ベンダー管理(調達手続き、契約交渉)
・レビューと監査
『クライアントへのKT』
自社向けPMOトレーニングプログラムをカスタマイズして提供しているコンサルファームある。
~ITマネジメント戦略~
CIO(最高情報責任者)や情シスのサポート。
①IT活用プランニング
②IT投資管理
③IT活用体制構築
~組織人事コンサルティング~
SHRM(Strategic Human Resource Management):戦略的人材マネジメント
・人事マネジメント
①人事戦略の策定(全社戦略を人レベルまで落とし込む)
②人事制度改革(採用、異動・配置、評価、育成、代謝を設計)
③実行支援
・組織マネジメント
①問題の可視化(ビジョンや戦略が浸透しているか?Web質問を分析)
②実行支援(明らかになった問題を解決支援)
③モニタリング
~組織開発プロジェクト~
①リーダーシップ
・経営者として必要な知識スキルの習得
・視座を上げる
・自主性。実行メイン。
これらを鍛える研修を行う。
②チームの強化
・組織診断⇒Web質問により結果を解析。
・社員のコミュニケーション強化
⇒人の特性を分類:DiSC(主導型、感化型、安定型、慎重型)やMBTI
③チェンジの推進
・課題とニーズの分析:改革するための課題、必要な社外サポート
・実行支援:改革チームの再編成
④ダイバーシティの推進
『ワークショップを設ける』
ダイバーシティとは
無意識に考えていること
女性が直面する壁、女性とのコミュニケーション術…など
⑤バリューの浸透
組織の構成員自らが組織の価値観を明確にし、共有していく。
~内部統制体制構築(J-SOX法対策)プロジェクト~
粉飾決算、巨額横領、金商法施行…コンプライアンス順守のための体制構築が重要となってきた。
①内部統制対象の洗い出し、計画・方針策定
②文書化のためのマニュアル・テンプレ作成
③本社内部統制体制の構築
④本社内部統制体制の導入支援、子会社・グループ会社への展開
⑤運用・評価
~M&A、デューデリジェンス~
これまでのコンサルティングテーマが同時並行するのがM&Aコンサルティングである。
①Pre-M&A段階
企業価値向上のために何をすべきか?
②M&A指導段階
具体的な買収対象企業選定、子会社化か合併か?、買収対価は株式か現金か?など精査する。ノンアクセス財務デューデリジェンス(有価証券報告書、帝国データバンクなどで軽くデューデリ)。
③買収交渉段階
対象企業が好反応を見せたら、機密保持契約などを結んだうえで内部情報収集。デューデリジェンスにより、買収価値を算定するバリュエーションを行う。
※4つのデューデリ
ビジネスデューデリジェンス:事業計画書、市場動向、環境の精査
財務デューデリジェンス:実質的支配者、PL・BS分析、EBITDA分析
法務デューデリジェンス
人事デューデリジェンス:人材運用理念、人事制度、人材フロー、組織文化
※バリュエーション
事業計画書や財務諸表に基づきDCF法、類似企業比較法などで「ベースバリュー」を出す。続いて、短期的業務改善効果やシナジー効果を算出。
ベースバリュー+シナジー効果=買い手にとっての価値
④買収後のPMIプロジェクト
PMI(ポストマージャーインテグレーション)
競業禁止義務、顧客の引継ぎ、役員・従業員の処遇などの条項
全社戦略立案、業務プロセス改善、コスト削減、財務面のリストラクチャリングなど。
~その他コンサルプロジェクト~
グローバル戦略(海外市場での戦略策定など)
中期経営計画立案支援
新規市場参入戦略(外資系企業の日本参入支援など)
トータルコストダウン
小売店のオペレーション改善(試用店舗にてオペレーション改善)
SOA導入支援
退職金・企業年金コンサルティング
海外子会社の現地化支援
財務リストラクチャリング(不採算事業の売却、M&A、資本政策など)
IRコンサルティング(株主調査、IR説明会運用支援、敵対的買収防衛など)